夫の一言 ~コミュニケーション編~
「コミュニケーションって、相手と距離を取ることかも」
夕飯の支度をしながら、夫がふとそんなことを言った。
現在、夫は転職のため、WEB関係のスクールに通っている。
そこでは画像編集ソフトの使い方からWEBサイトの作り方を学んでいて、今は大詰めのグループ製作に取り掛かっている所だ、というのは以前にも聞いた話だった。
実際のクライアントから受けた依頼に対し製作をするため、自ずと熱も入る。
年々、グループによっては炎上してしまう所も出てきてしまうそうなのだが、夫のグループは比較的穏やかかつ順調に製作が進んでいるとのことだった。
しかし、中にはどうやらメンバー同士すれ違いが起きてしまったグループもあるらしい。
原因は、より親密になり結託しようとし過ぎたこと。
結果、考え方やスタンスの違いでバラバラに砕けてしまい、今は別々に製作を進めているような状態になってしまった。
コミュニケーションというと、自然と相手との距離を縮めようとしてしまいがちだ。
実際、これには私もかなり心当たりがあった。
仕事相手が「太っているからなんとかしないと」というので、服のサイズを聞いてしまったり
(単に失礼)
バイトで、食品の使用期限メモが開封前の日付になっているのを見つけて、「タイムパラドックスやー」と笑って話したら、その人が書いた本人だったり
(単に迂闊)
飲み会の席で、上司にキレッキレのツッコミを入れてしまったり
(関西人の悲しき性)
私は壁を作ってしまう方なので、少し失礼なくらいがちょうどいいと思っていた。
しかしこうしてみると、距離を急激に詰めようとし過ぎて、少しどころか普通に失礼になってしまっている。
人によって心地いい距離感というのは違う。
もっとぐいぐい来てほしいという人もいれば、土足で踏み込まれたと思う人もいるだろう。
「気さくな雰囲気だからきっとぐいぐい来てほしい人だろう」と思って踏み込もうとし過ぎると、意外と線は手前にあったりする。
コミュニケーションで大切なのは、相手と気持ちよく一緒に居られるための距離感をつかんで、それよりも中に立ち入り過ぎないようにすることかもしれない。